毎日図鑑の点描スケッチをしていました。
私の点描スケッチに大きな影響を与えたのは,
チョウの研究家である浜栄一さんです。
小学生時代から氏のフィールドノートにある点描画は凄いなと思っていたのですが,
中学の時,直接ご自宅で指導していただく機会があり,
それ以来じぶんも挑戦したのでした。
氏の点描画のすばらしいところは,
昆虫や植物など描画の対象をスケッチするだけでなく,
それらが生育する環境ごと写し取ることで,
そのセンスには,今なお私は適わないなと感じています。
氏が,先日,点描画の本を出版したということで,
献本いただき,拝読いたしました。
著書には,私が高校時代に書いたツマグロヒョウモンの絵も載せていただいてあり,
大変光栄なことでした。
さて,本題。
スケッチをこれまで何度か教えるという機会があった。そうするとどうしても,綺麗に書こうとか,絵心が無いとか,
そう考える人が多く,いつも大変苦心しいる。
最近,よく考えるのは,スケッチをすることを意味なのだけれど,
私は,綺麗に書くことを心がけたり,
絵心を気にする必要などは全くないと考えている。
一番大切なことは,対象物をよく観察することである。
綺麗に正確に写し取りたいだけならば,
写真を撮れば良いのである。その方がずっと正確だし,
ずっと早い。
では,なぜスケッチをすると良いのか。
私は,ある目的地へ車で行くことと,歩いていくことを比べると良いと考えている。車で行くと,あっという間に目的地へ着く。そして,楽。
道程に何があったか,おおよそ覚えていて,またそこへ行くことも可能だし,
目的地でゆっくり時間が過ごせるでしょう。これはこれでグッド。
歩いて行くとする。
時間はかかるし,骨が折れる。
けれども,車で通ったときには気づかなかった裏路地を見つけたり,
道に咲く小さな花を見つけられるかもしれないし,
おされなカフェェーだって見つけられるかもしれない。
そういう発見や,発見が出来る観察力を養うのに,
スケッチが大変有効だと思う。
実際に虫を描いてみるとよくわかる。
輪郭の曲率とか,
翅の上下のプロポーションとか,
支脈がどういう風に交わっているかとか,
毛が生えている向きとか。
生態スケッチなら,どういう風に葉っぱを食べるかとか,
どんな環境にいるのかとか,
見ているけど意識していないことを,
スケッチにより認知することができる。
これらの違いというものの多くは,
生物学においては,分類の大事なポイントだったりする。
だからスケッチが大事なんです。
だから,上手でなくても,時間をかけて描ききることに意味があるのです。
まぁ,そういうことを教える側が理解していなくて,
とりあえずスケッチさせとこみたいなところがあるから,
デッサンの延長線上で捉えてしまって,
結局,絵が上手な人が良いみたいになって,
絵が嫌いな人は,もっと嫌いになるフィードバックがかかりそうですね。
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